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腎臓病のある方に向いている仕事や働き方とは?

更新日:2023年03月08日

腎臓病のある方が働きたいと思った場合、どのような仕事を選べば良いのでしょうか。腎臓病には疲れやすさがあったり、人工透析が必要な方は時間に制約があったりするため、健常者と同じペースで働くことは難しいとお考えの方も少なくないと思います。しかし、自分が抱える腎臓病という病気を正しく理解し、どのような配慮を受ければ仕事ができるかを今一度考えてみてはいかがでしょうか。ここでは、腎臓病のある方の働き方について解説していきます。

腎臓病・腎機能障害とは

腎臓には、体内の水分量を調整したり老廃物を濾(こ)して不要な水分と一緒に尿として体外へ排出するという機能があります。

しかし、腎臓病を患ってしまうと、体内の不要な水分や老廃物などをしっかりと体外に排出することが難しくなり、結果として体にとって有害な物質が溜まった状態になってしまいます。

この腎臓病は腎機能障害とも呼ばれる内部障害の一種で、病気や外傷により腎臓の機能が低下してしまい、日常生活に制限をかける必要がある病気です。

腎機能障害には先天的な原因によるものと、加齢や生活習慣、病気や事故などの後天的な原因によるものがあります。

腎臓病の原因

腎臓病の原因には、糖尿病によるもの、腎臓の糸球体の炎症によるもの、全身疾患や医療行為に伴なうものなどさまざまなものがあります。

その中でも糖尿病と糸球体の炎症によるものは慢性腎不全といわれ、このような状態になってしまうと腎機能が回復することはなく、高度な腎機能低下では多くの場合末期腎不全へと病状が進行し、最終的には人工透析や腎臓移植が必要になるケースもあります。

腎臓機能低下による症状

腎臓の機能が低下してしまうと、どのような症状が出てくるのでしょうか。

ここでは、腎機能が低下した場合に出る代表的な症状について解説していきます。

 

むくみ

むくみは腎臓病の初期症状として出やすく、手や足、顔などがパンパンに腫れてしまう状態のことを言います。

 

むくみの原因は、血液を濾過する糸球体が障害を起こし、網の目が目詰まりを起こしてしまい血液を十分に濾過することができなくなり、余分な水分や塩分を体外に排出できなくなることが原因で起ります。

 

 

尿量の変化、血尿、タンパク尿

腎機能が低下すると、尿の濃縮能が落ちてしまい尿量が増えてしまいます。

また糸球体に何らかの障害が起きた場合に、血尿やタンパク尿が出るようになります。

血尿の中には目視で分かるものもあり、またタンパク尿の中には尿が泡立つことから、自分で腎臓の異常に気付くケースもあります。

 

 

だるさ

だるさは末期の腎臓病を患っている場合によく見られる症状のひとつで、腎臓病によって尿毒症物質が体内に溜まってしまった場合に起ります。

 

また腎臓病により貧血になった場合や、体液が過剰になってしまい心不全が悪化したとき、電解質の異常などのさまざまな原因でだるさが生じてしまいます。

 

 

貧血

腎臓はさまざまなホルモンを分泌する臓器ですが、そのホルモンの中に赤血球を作る働きを促進するエリスロポエチンというものがあります。

腎臓の機能が低下すると腎臓から分泌されるエリスロポエチンの量が減少し、赤血球の生産能力が低下した結果、貧血になってしまいます。

 

腎臓病の治療

急性腎不全と、慢性腎不全のうちの急速進行性糸球体腎炎や間質性腎炎は、補液および尿路閉塞の解除、原疾患に対する治療などにより腎機能の早期回復が期待できます。

しかし、原因に対する治療を行わないと自然に治ることはなく、慢性腎不全になってしまいます。

 

 

急性腎不全や急速進行性糸球体腎炎や間質性腎炎以外の慢性腎不全では、薬物療法や食事療法、人工透析、血漿交換療法といった治療が行われます。このような慢性腎不全の治療は、根治を目的としたものではなく病気の進行を遅らせるためのものとなります。

 

薬物療法

薬物療法には腎臓病を治す特効薬はなく、降圧剤や利尿剤、リン吸着薬、カリウム吸着薬、エリスロポエチン製剤、ステロイド・免疫抑制剤、漢方薬を使い進行を遅らせたり合併症を予防したりします。

 

 

食事療法

食事療法では十分なカロリーを摂取しながら、たんぱく質や塩分、カリウム、リンの摂取を制限し、適切な水分量を摂取するという方法をとります。

 

 

人工透析

人工透析は、機械に血液を通して濾過し血液中の老廃物や不要な塩分を除去し、血液を綺麗にするという治療法です。

血漿交換療法とは、血液を血漿分離機で血球成分と血漿成分に分離し、腎不全の原因物質を含む血漿を廃棄し、それと同量の健康な人の血漿を入れて置き換える治療法のことです。

 

 

仕事でみられる腎臓病の特性

腎臓病が仕事に支障をきたす可能性がある特性があります。

ここでは、その特性について解説していきます。

 

体力がなく疲れやすい

腎臓病・腎機能障害のある方に多いのが、体力がなく疲れやすいという症状です。

このような方が長時間の残業を行ったり、肉体労働を行った場合にはより体調を悪化させてしまうこともあります。

また、免疫力も低下していることがあるため、感染症にかかったり、そのような場合に重症化してしまったりしてしまうリスクもあります。

人工透析を行っている場合には体力とともに筋力も低下しているため、透析の前後にめまいや倦怠感が起こることもあります。

 

 

見えない病気なので周囲の理解が得られにくい

腎臓病は内部障害なので、見た目は健康な人と変わりがありません。

そのため、腎臓病を患っていることを周囲に気付かれにくく配慮を受けづらいため、これをストレスに感じる方もいらっしゃいます。

 

また、人工透析を行うために作ったシャント(*)を壊さないために重いものが持てなかったり、腕に物がぶつかるのが危険だったりしますが、このような特性も健康な方には理解してもらいづらい点であると言えるでしょう

 

*シャントとは、動脈と静脈をつなぎ合わせて作った血管のことです。これにより、透析治療の際、十分な血液を確保できるようになります。

 

透析治療があるため時間の制約がある

腎臓病のある方の中には、人工透析治療を行っている方も少なからずいらっしゃいます。

 

人工透析は一回の治療に半日近く時間がかかるうえに、頻繁に通院し治療を行う必要があります。このように時間が制約されるため、長時間拘束される仕事や出張がある仕事を行うのは非常に困難です。

 

週に5日正社員として勤務することや、フルタイムでの就労が難しくなるケースもあります。

腎臓病のある方が働きやすい職場・業界・職種とは

腎臓病のある方は、どのような仕事や業界、職種を選ぶと長期に渡りストレスなく働き続けることができるのでしょうか。

 

ここでは、腎臓病のある方が働きやすい職場や業界、職種について解説していきます。

 

働きやすい職場について

仕事をしたいと思った場合には、まずその会社の医療体制がどの程度整っているかを調べてみましょう。

 

大企業や大きなオフィスビルの場合には、敷地内に医務室や休憩室が設けられているケースがあるため、万が一職場で体調が悪くなってしまった場合にも安心です。

 

また、産業医が配置されているかどうかという点についてもチェックしておきましょう。

 

おすすめの業界

各業界で大手と称される企業を調べてみましょう。

 

そのような企業では福利厚生がしっかりと整えられおり、それに加えて障害者雇用に力を入れている企業も少なくないためです。

 

また、フレックスタイム制度を導入している企業であれば、人工透析治療を行っている方でも治療をしながら時間をやりくりしてフルタイムで働くことも不可能ではありません。

 

おすすめの職種

腎臓病がある場合、体力がなく疲れやすいという症状があるために、肉体労働が多い仕事は向いていません。

デスクワークなど、あまり体に負担がかからない仕事を選ぶとよいでしょう。

仕事の探し方

腎臓病のある方は、どのような方法で仕事を探せばよいのでしょうか。

ここでは、腎臓病の方の仕事の探し方について解説していきます。

 

ハローワーク

ハローワークは健康な人が仕事を探しに行くところと思われている方が多いのですが、腎臓病のような内部障害のある方にも、障害の特性に合った求人を紹介してくれる専門の窓口があります。

 

このようなハローワークの障害者枠求人専門の窓口では、障害や疾患がある方に対する求人の紹介以外にも、就職に関する相談やカウンセリングも行っています。

 

 

障害者専門転職サービス

障害者専用の転職サービスとは、障害者の転職をサポートしてくれる民間の企業です。

このようなサービスを利用すると、障害者の就職や転職に関するプロにひとりひとりの特性に合った仕事を探すサポートを行ってくれます。

障害者専用転職サービスでは仕事探し以外にも、模擬面接や提出書類の添削、就職後の相談などに至るまで一貫したサポートを受けることができます。

 

atGP(アットジーピー)とは

atGPとは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者就職および転職支援サービスの総合ブランドです。

 

20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた、日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在がatGPです。

atGPの就職や転職に関するサービスは、無料で受けることができます。

 

障害や難病のある方に将来のビジョンも含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートしてくれます。

 

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まとめ

ここまで、腎臓病や腎機能障害の症状や特性、治療法、おすすめの仕事や仕事の探し方などについて解説してきました。

 

腎臓病や腎機能障害があっても、仕事に就くことは十分に可能であることがお分かりいただけたと思います。

 

しかし、自分に合った職場を探して長く働き続けるためには、自分が抱える病気の特性や症状、治療法についてしっかり把握し、どのような配慮をしてもらう必要があるかということを明確にしておく必要があります。

 

atGPエージェント
腎臓病や腎機能障害があるからといって働くことをあきらめずに、障害者の就職を扱っている機関に相談してみることをおすすめします。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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