就労移行支援に行きたくない!通所が辛く感じる理由と対処法
更新日:2025年11月11日

障害のある方や難病のある方の中には、就労を希望する方々が多くいます。しかし、個人で仕事を探したり、仕事に就くために必要なスキルを身に付けることは非常に困難です。このような場合に利用したいのが就労移行支援という制度ですが、現在就労移行支援を利用している方の中には、就労移行支援へ通うことが苦痛になったり、困難になったりする方もいます。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。ここでは就労移行支援に通うことが辛くなってしまう理由や、その対処法などについて詳しく解説していきます。
目次
就労移行支援とは

就労移行支援とは、就労移行支援事業所において障害や難病のある方の一般の企業への就職をサポートしてくれる福祉サービスのことを言います。
就労移行支援事業所は、地方自治体により指定を受けて就労移行支援のサービスを提供しており、日本全国に3,300か所以上あります。
就労移行支援で受けることができるサービスは、就職する前は就職に必要なスキルの習得や必要書類の添削・模擬面接など就職活動を行う際のサポート、就職後には職場に長期定着するためのサポートをそれぞれ受けることができます。
就労移行支援についての詳しい内容は、関連記事をチェックしてみてください。
就労移行支援に「行きたくない」「辛い」と感じてしまう理由

就労移行支援に通所しだしてから、通所することが辛いまたは行きたくないと感じてしまうこともあります。その理由には、以下のようなものがあります。
自分の症状に合った事業所に通えていない
就労移行支援に通うのが辛いと感じる理由のひとつに、自分の症状に合った就労移行支援事業所に通えていないというものがあります。
例えば、体力的に不安があるにもかかわらず自宅から遠い就労移行支援事業所に通所していたり、人がたくさん集まる場所では緊張してしまうという症状があるのに、利用者が多い就労移行支援事業所を選んでいたりといったようなケースです。
そのような場合には、自分の障害や難病の特性をしっかりと把握しなおしてから、自分の障害や難病の特性でも無理なく通うことができる就労移行支援事業所を探すとよいでしょう。
自分のニーズに合ったプログラムがない
自分がどのように働きたいか、またはどのような働き方であれば無理なく働き続けることができるのかという点をはっきりさせないまま就労移行支援事業所を決めてしまう場合に起こることがあります。
通い始めてから自分が「このように働きたい」という理想が固まってきた場合に、現在通所している就労移行支援事業所と自分のニーズにミスマッチが生じてしまいます。
通所する就労移行支援事業所を決める前に、自分が理想とする働き方を明確にしておき、その理想にマッチしたスキルを身に付けることができる就労移行支援事業所を選ぶようにしましょう。
通所中にミスマッチを感じ始めた場合には、通所先の就労移支援事業所を変えるということも視野に入れておきましょう。
スタッフとうまくコミュニケーションが取れない
就労移行支援事業所への通所が辛く感じてしまう理由としては、就労移行支援事業所のスタッフと上手くコミュニケーションが取れていない可能性があります。
スタッフにはさまざまな人がいるため、中には相性が合わない相手もいるかもしれません。また、就労移行支援事業所の雰囲気自体が自分に合っていないと感じる人もいます。
このような理由で就労移行支援事業所に通所することが辛くなった場合には、事業所を変えることを選択肢のひとつにしておきましょう。
就労移行支援に行きたくなくなった時の対処法
ここでは、就労移行支援に行きたくなくなった時の対処法について、順を追って解説していきます。一人で抱え込まず、原因を明確にして対応策を探りましょう。
自分の障害特性とプログラムが合っているか確認する
行きたくない理由が、現在のプログラム内容や進め方が自分の障害特性や体調に合っていないことにあるかを確認しましょう。
例えば、集団での作業が苦手なのにその訓練が多い、体調の波を考慮されないスケジュールになっている、目指す職種と訓練内容にズレがある、といった場合です。
もし合わない点があれば、それを明確にし、代替となる訓練がないか、または個別対応が可能かを事業所のスタッフと話し合うための材料とします。無理を続ける必要はありません。
担当の支援員に相談する
行きたくない気持ちを一人で抱え込まず、まずは信頼できる担当の支援員に正直に相談しましょう。
相談する際は、「疲れた」「行きたくない」といった感情だけでなく、「何が辛いのか」「どんな時にそう感じるか」といった具体的な原因(例:人間関係、訓練内容の難しさ、体調不良、就職へのプレッシャーなど)を伝えると、支援員も的確な対処法を一緒に考えてくれます。
通所日数や時間の調整、個別面談の増加、プログラムの変更など、具体的な改善策を提案してもらいましょう。
事業所の変更を検討する
現在の事業所での改善が見込めない場合や、他の支援を試したい場合は、事業所の変更を検討しましょう。事業所によって提供されるプログラム、雰囲気、支援員の質、得意とする障害特性や就職先が大きく異なります。
まずは別の事業所の見学に行き、自分に合いそうな環境があるか探してみましょう。変更は決して「逃げ」ではなく、自分にとって最適な環境を見つけるための前向きな選択肢です。
市区町村の窓口や相談支援事業所で情報収集や手続きのサポートを受けられます。
一時的に就労移行支援を休む
心身の状態が限界に近い場合は、一時的に通所を休むことも重要な対処法です。無理に通い続けると、体調の悪化や二次障害につながり、かえって就職までの期間が延びてしまう可能性があります。
休む期間は、医師や支援員と相談して決め、まずは心身の回復を優先しましょう。
休止中も、自宅での軽度な活動や休職支援プログラムの利用、または福祉サービスの再検討など、次につながる選択肢を支援員と話し合いながら、焦らず復帰のタイミングを探ることが大切です。
就労移行支援を休むときに利用できる支援制度
障害者手帳
障害者手帳は、各種福祉サービスを受けるための証明となります。就労移行支援を休むこと自体に直接的な支援を提供するものではありませんが、手帳を持っていることで、手帳所持者を対象とした他の福祉サービスや助成制度の利用資格を得やすくなります。
休養期間中の医療費の助成、公共交通機関の割引、税制上の優遇措置など、生活全般の負担軽減につながる制度を利用できるようになるため、間接的に休養を支える基盤となります。
ただし、サービス内容は手帳の等級や自治体により異なるため、詳細は窓口で確認が必要です。
生活保護
生活保護は、資産や能力、他の制度を最大限活用してもなお生活が困難な場合の最後のセーフティネットです。
ご自身の収入・資産が最低生活費に満たない場合に利用でき、生活費や医療費などが扶助として支給され、休養中の経済的基盤を確保します。
最低生活費は地域や世帯構成で異なり、判断は世帯全体の状況に基づきます。障害年金受給者も利用可能ですが、年金分を差し引いた差額が支給されます。詳しくは居住地の福祉事務所の生活保護担当にご相談ください。
障害年金
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事が制限されてしまった場合、就労移行支援の利用の有無に関わらず、要件を満たせば受給できる公的年金です。休養期間中の安定した非課税の収入源となり、療養生活を支える経済的な柱となります。
障害の状態に応じて、障害基礎年金または障害厚生年金が支給されます。申請には、医師の診断書や病歴・就労状況等申立書などが必要で、手続きが複雑なため、年金事務所や専門家への相談が推奨されます。
就労移行支援を選ぶ際のポイント

通所する就労移行支援事業所を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。ここでは、そのポイントについて解説していきます。
まずは自分の障害や症状を理解する
就労移行支援事業所への通所を開始する前に、自分の障害や病気の特性をきちんと把握し、受け入れることが重要で、これを「障害受容」といいます。
この障害受容は、企業側が採用を検討する方に求めることでもあるため、非常に重要です。
一般の企業で長期間定着して働くためには、自分の障害の特性を十分に把握し、調子が悪くなった時などの対処法についても知っておく必要があります。
この障害受容がきちんとできていない場合には、自分で自分自身の障害や難病の特性によるトラブルが起った際にうまく対処できないケースがあります。
そのため、自分の特性をしっかりと把握してからその特性に合った就労移行支援事業所へ通所することで、通所が辛くなるということが起こりにくくなります。
どのように働きたいか、どんな仕事がしたいかを考える
就労移行支援事業所により、身に付けることができるスキルは異なります。
そのため、自分がどのように働きたいか、どんな仕事に就きたいかというイメージを具体的にしてから、通所する就労移行支援事業所を決めるようにしましょう。
自分が希望する仕事に就くためのスキルを身に付けることができる就労移行支援事業所への通所であれば、やりがいを感じることができ通所に辛さを感じることも少なくなります。
自分の障害や症状に合ったコースがある事業所を選ぶ
いくら自分がしたい仕事があったとしても、自分の障害や難病の症状ではその仕事に就くことが難しいケースも考えられます。
そのような場合には、「何がしたいか」よりもまず「何ができるか」ということに目を向けてみることも大切です。
自分の障害や特性をしっかりと把握して、働くことができる仕事に就くためのコースやカリキュラムが準備されている就労移行支援事業所を選ぶとよいでしょう。
自分が欲しいスキルが得られるかを調べる
就労移行支援事業所にはさまざまな種類があり、事業所ごとにスキルを得るためのカリキュラムやコースも異なります。
ビジネスマナーのレクチャーや就職支援のための必要書類の添削、模擬面接等はほとんどの就労移行支援事業所で行われていますが、身に付けることができる専門的なスキルに関しては、事業所ごとに異なる点に注意しましょう。
就労移行支援事業所を選ぶ際には、自分が欲しいスキルを身に付けることができる事業所を選ぶようにしましょう。
無料見学や相談を通じてスタッフとのコミュニケーションに問題が無いか調べる
就労移行支援事業所に通所するのが辛いと感じた場合にまず相談相手になってもらうのが、その事業所のスタッフです。
そのため、通所する就労移行支援事業所を決める前に目星を付けた事業所に相談に行ったり、無料見学に行ったりして、スタッフとのコミュニケーションに問題が無いか調べておきましょう。
就職実績がある事業所であるかを調べる
就労移行支援事業所の中には、あまりクオリティーが高くない事業所もあります。
カリキュラムやコースが充実しているように見えても、就職成功率や職場定着率が低い事業所は、避けたほうが良いでしょう。
クオリティーが高い就労移行支援事業所を選ぶためには、職場定着率や就職定着率を公表していて、なおかつそれらが高い事業所を選ぶことが大切です。
atGP(アットジーピー)の就労移行支援ジョブトレなら
atGPの就労移行支援サービスであるジョブトレは、うつ病コース、発達障害コース、統合失調症コース、聴覚障害コース、難病コースの5つのコースの中から自分の障害や難病に合ったコースを選んで適切な支援を受けながら、一般企業への就職を目指すことができます。
利用者の満足度は92%、就職後の定着率は91%と、利用者の評判も実績も高い事業所です。
自分の障害に合ったサポートを受けながら事務職を目指すことができ、就職活動だけではなく就職後の職場定着のためのサポートも行ってくれます。
このように、障害や難病の特性に合った方法でトレーニングを行い、高い職場定着率を誇っているのが、atGPの運営する就労継続支援事業、「atGPジョブトレ」です。
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まとめ
ここまで、就労移行支援事業へ行くのが辛くなる原因やその対処法、辛くならないための就労移行支援事業所の選び方などについて解説してきました。
原因のメインとなるのは、自分の障害や難病の特性について自分自身でしっかり把握できていないということも理由の一つであることがお分かりいただけたと思います。
自分の障害や難病の特性を理解し、障害や難病があることで生じる体調の悪さや不便さへの対処法を知ることで、就労移行支援事業所への通所の辛さを軽減することができるでしょう。






