障害者枠で公務員として働くには?給料やメリットについて解説
更新日:2024年06月17日
障害者枠での就職を希望している身体障害者の中には、「公務員として働きたい」という希望を持っている方も少なくないと思います。では公務員の障害者採用の現状はどのようになっているのでしょうか。ここでは、公的機関の身体障害者雇用の現状と、障害者枠で公務員として働く場合のメリットやデメリットなどについて解説していきます。
目次
障害者の公務員採用の現状
中央省庁では、2018年の障害者雇用者数の水増し問題が発覚したため、2019年の6月1日までに3,700人弱の障害者を新たに雇用しました。
国の機関における障害者枠で雇用されているのは身体障害者が一番多く、次に多いのが精神障害者で、一番採用人数が少ないのが知的障害者となっています。
このことから身体障害者は、障害者枠を利用して公務員として雇用されやすい状況にあったといえます。しかし、民間の企業での精神障害者の新規雇用数が急激に増加していることから、中央省庁でもさらに障害の種別を問わずに、能力がある人材の雇用を進めていくものと思われます。
中央省庁に障害者枠で雇用された人は、民間の企業と比べて職場に長期定着しやすいといった特徴もあります。平成30年10月23日から令和元年6月1日までに中央省庁に採用された障害者のうち、94.9%が職場に定着しているというデータもあります。
障害者職業総合センターが2017年に実施した「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、民間企業も含めた職場への障害者の一年後の定着率は50%から70%程度なので、データ上、中央省庁は障害者にとって継続して働くための環境が整った職場であるといえるでしょう。
ただし先述の通り、中央省庁において身体障害者の雇用割合が一番多かったとことから厳密にいえば「身体障害者」が働くための環境が整った環境と考える方が自然かと思われます。
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障害者枠で公務員として働くメリットとは
障害者枠で公務員として働くメリットには、以下のようなものがあります。
一般的な障害者枠採用と比較して給料が高い
厚生労働省が発表した障害者枠で採用された公務員の平均賃金は、平成30年5月の時点で
・身体障害者は21万5千円
・知的障害者は11万7千円
・精神障害者は12万7千円
となっていて、給与面において身体障害者は他の障害のある人に比べて高い給与を得ていることが分かります。
障害者枠の公務員の年収は、健常者である公務員の年収と全く同じです。
身体障害者に比べて精神障害者や知的障害者の平均賃金は低くなっていますが、これは最終学歴により賃金が決まることが原因となっています。
そのため、大学進学率が最も高い身体障害者の平均賃金が一番高額になっています。
休みが多い
一般企業の場合1年間の休日の日数は120日あれば多いほうで、105日以下という企業も少なくありません。
一方公務員はというと、夏季休暇、年末年始、ゴールデンウィークを含めた年間の休日は131日もあります。それ以外にも毎年4月1日に付与され、一時間単位でも取得可能な有給休暇が年に20日あります。
さらに傷病休暇も90日あるため、身体障害者の中でも体調を崩しやすいといった特徴がある方や、定期的な通院の必要がある方は、民間の企業に比べて休日を取得しやすくなっています。
一般の企業であれば勤務開始後半年でようやく年に10日の有給休暇が付与されるというシステムを採用しているところが多いため、公務員は休みを取りやすく、障害のある方も働きやすいといえるでしょう。
安定して働くことができる
公務員は基本的に解雇されることがないため、安定して働くことができます。
初年度の半年間、または1年間勤務し続けた後は相当大きな理由がない限り解雇されません。その「相当大きな理由」とは、犯罪を犯してしまったり、傷病休暇の90日を超えるほどの休みを取った(休み過ぎ)といったことです。
上司に怒られる程度のミスをしても、解雇されることはまずありません。また公務員は、一般の企業では解雇の理由となることもある、服用している薬の副作用による仕事の遅さや、体調が安定しないため休みがちといった理由でも解雇されることはありません。
また、ワークライフバランスが取りやすいといったメリットがあります。障害者枠で採用された身体障害者が、残業をすることもまずなく、仕事が残っていたとしても定時がくれば退社するよう促されます。
これは一般の企業ではまず考えられないことなので、このような点からも身体に障害のある方は障害者枠で公務員として安定して働き続けることができるといえるでしょう。
社会的信用が高くなる
公務員は一般的に社会的信用が高いとされていますが、それは障害者枠で採用された身体障害者であっても変わりはありません。
実際に公務員という立場が役に立つシーンとしては、クレジットカードを作るとき、引越しを行う際の賃貸物件の入居審査のとき、大きな買い物をしてローンを組むときなどに実感するでしょう。
一般企業では障害者枠の場合、契約社員としての採用が多いのですが、公務員の場合は正式採用となるケースも多く、そうなると公務員でありなおかつ正式採用となるため、社会的信用が非常に高くなります。
障害者枠で公務員として働くことのデメリット
障害者枠で公務員として働くことのデメリットには、以下のようなものがあります。
公務員採用試験がある
民間企業では多くの場合、書類選考と面接をして採用・不採用が決まりますが、公務員の場合、筆記試験があります。
しかもこの試験は簡単なものではなく、広範な知識と準備が求められます。
試験の難易度も高く、広範囲にわたる知識が必要とされるため、十分な準備と勉強が不可欠です。
配属される部署を選ぶことができない
障害者枠で公務員として採用された場合、基本的に配属される部署を自分で選ぶことができません。募集される職種も限られているため、公の仕事に携わって人の役に立ちたいと強い意欲を持っていたとしても、配属された先では廃棄する書類をシュレッダーにかけたり、コピー機の保守を行ったりといった補助的な仕事に従事することを求められるケースもあります。
他の部署に異動したいと思って希望を出しても、その希望が通ることはまずないと思っておきましょう。なぜなら、障害者の雇用枠はそもそもの人数が限られているため、希望する部署に障害者枠の欠員が出ない限りは希望した部署で働くことは難しいからです。
服装の自由がない
公務員として働く場合には、基本的に男性はスーツの着用が求められます。さらにワイシャツやネクタイ、靴やかばんの色まで指定されているところもあります。それ以外の部署でも私服で働くということはまずなく、制服の着用が義務付けられている職場がほとんどです。
女性は比較的自由な服装で働くこともできますが、あくまでオフィスカジュアルといった程度の崩し方しかできず、ジーンズで働くなどもってのほかとされています。そのため特に男性は、服装で息苦しい思いをすることがあるかもしれません。
クールビズの時期はノーネクタイが推奨されているとはいえ、自由な服装で働くことはないということをしっかりと覚えておきましょう。
雇用保険の対象外であるため失業保険をもらうことができない
公務員は国家公務員であっても地方公務員であっても、雇用保険法第6条により雇用保険の対象外(適用外)となっています。そのため、失業保険をもらうことができません。
その理由は、公務員という仕事が景気変動の影響を受けにくいため失業のリスクが少ないためです。
しかし公務員の場合は退職したら、失業保険の代わりに「退職手当」というものを受け取ることができます。この退職手当は退職月の給与や勤続年数、退職理由をもとに計算されるため、勤続年数が短い場合には支給額が少なくなってしまいます。
場合によって退職手当は、一般の企業を退職したときに受け取ることができる失業保険より低額になることもあります。
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