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難病がある人の仕事の探し方、就労支援についてご紹介!

更新日:2024年08月27日

難病を患っている人が就職しようと思ったり、転職しようと思ったりした場合には、どのような方法で勤め先を探せばよいのでしょうか。難病を患っていては、就職も転職も難しいのではと思っている人も多いと思います。しかし、難病を患っていても正しい仕事の探し方をすれば、自分に合った就職先や転職先を見つけることも不可能ではありません。そもそも難病とはどのような病気のことをいうのか、そして難病の人向けの仕事の選び方、難病がある人の仕事探しの方法を詳しく解説していきます。

そもそも難病とはどのようなものなのか

難病とは、2015年に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」によって、発病の機構(原因)が明らかでない、希少な疾患である(ガン、精神疾患、感染症、アレルギー疾患等、個別の施策体系が確立している疾患は含まれない)、治療法が確立していない、長期の療養を要するといった4つの要素をすべて満たす疾患であると定義されています。

 

「難病」と聞くと、「そのまま死んでしまう病気ではないのか」や「寝たきりで起き上がるのもつらい状態になるのではないか」といったイメージを持たれがちですが、それは正しくありません。

 

実際の難病患者の中には、医療の進歩とこれまでの難病対策の成果により治療することで症状が安定し、問題なく日常生活を送ることが出来ている人も少なからずいます。
しかし、完治までには及ばないため定期的な通院と服薬などで体調を整えることが必要な人がほとんどで、生活していく上での自己管理を欠かすことは出来ません。

このような理由から、難病について医療費の負担軽減、治療をしながら社会参加を促し、仕事を得ることができるよう総合的な支援を進めることが国に求められています。

 

難病のある人はどのような仕事を選べばいいのか

難病のある人が仕事を選ぶうえでまず一番のポイントとしなければならないのは、体に負担を掛けずに活躍できる仕事内容や職場環境であるかという点です。

 

具体的には、

 

・肉体的な負荷が少ない
・休憩が比較的自由に取りやすい
・勤務時間や勤務日数が多すぎず十分に疲労回復ができる
・業務調整などで通院のための時間を取ることができる

 

といった条件を満たしておく必要があります。

 

このような条件を満たす仕事としては、デスクワークや時短勤務などの仕事があります。

この中でも、業務調整により通院時時間や休憩時間の確保を十分に行うためには、職場の理解と配慮を得なければなりません。そのためには、就職活動や転職活動を行う際に「このような配慮をして欲しい」ということをきちんと企業側に伝えておくことが重要です。

 

多くの難病では、倦怠感や疲れやすさ、体の痛みや発熱、体調の崩れやすさなどの症状が共通してみられることが多く、これらの症状に難病の人が悩まされないためにも、適切な休憩時間を取ることは非常に重要な事です。

このような体調管理のために、会社側にしてもらう配慮のことを「合理的配慮」と言います。以前は企業側にこの合理的配慮を求めたくても、難病に対する差別や偏見を恐れて企業側に伝えることが出来ない人も多くいました。

 

しかし、2016年度から障害者差別の禁止や合理的配慮が義務化されたため、「難病を患っている」という事のみで不採用にすることは禁止されました。現在では難病のある人と企業側がよく話し合って、必要な配慮を企業側が提供することが義務付けられています。

 

企業側にこのような合理的配慮を求めるだけではなく、難病のある人自身も自己管理を行い、職場での対処スキルを身につけることも重要になります。
難病は病気によってそれぞれ症状が異なるため、その症状に対する対処法も異なります。

難病を患う本人が医師や職場の上司などとよく相談して、どのように治療と仕事を両立していくかをしっかりと考えておく必要があります。

 

また、職場における業務調整を行う際には、自分にはどのような合理的配慮が必要かということだけではなく、自分がどのような分野で職場に貢献できるかといった点についても積極的に提案していけるとよいでしょう。

難病のある人の仕事探しはどのようにすればいいのか

仕事を始める前に、主治医に相談する

難病のある人が仕事をしようと考えた時に、まず行うべきことは主治医に自分が働くことができる状態かどうかを見極めてもらうことです。

現在は病状が安定していても、仕事の内容や働き方によっては体調を崩してしまい、仕事を続けることが難しくなることも考えられます。

 

自分が働こうと思っている職種や、その職種での働き方、勤務時間や勤務日数などについて、しっかりと主治医に無理なく働くことができるかどうか相談しておきましょう。
今後の休憩時間や通院のための時間をどのように確保するかという見通しを立て、それに沿った治療方針を医師と一緒に考えておきましょう。

 

次に、今までの勤務経験や課題の整理を行います。
これまで就職活動や就職後に、治療と仕事の両立に課題があった場合には、その状況を正確に把握し、次の職場で同じような問題が起こらないよう対策をとっておく必要があります。

 

難病について会社の理解を得る

就職活動を行う上で難病を患っている人の大きな課題となる点は、就職活動を行う時点で難病があることをオープンにするかどうかということと、抱えている難病に関する職場からの理解の有無です。

職場での合理的配慮を求めるために難病であることをオープンにして就職活動を行うと採用されづらく、クローズにして就職が決まってしまうと仕事を始めてから苦労がついて回り、結局仕事を続けることが出来なくなるという事態につながる事も考えられます。

 

就職活動を行う上では、上手に自己アピールを行いながら必要な合理的配慮を求めることができるよう、企業側に伝えられるよう自分の状況を整理しておくことが重要になります。

 

また、難病は外見から難病を持っているとは分かりづらい事がほとんどです。そのため、企業側の難病への理解を得ることが難しい可能性も考えられます。

就職活動や転職活動を行っているときはもちろん病状が安定し、体調が良い場合ですが、仕事を続けていくにあたって、体調を崩してしまったり、通院を行ったりするための配慮を受ける必要が出てくることもあるかもしれません。

 

スキルアップをして就職しやすい環境を作る

難病を抱えていても、どんな働き方なら無理なく働き続けられるのか、どのような状況で体調が崩れやすいのか、職場で体調を崩したときにはどう対処するのか、などをきちんと把握しておきましょう。

 

自分の難病をオープンにして就職活動を行う場合には、抱えている難病や必要な配慮について正確に説明する必要があります。

一般的な企業での採用時には、応募者に仕事を行う能力があるか、意欲は十分か、職場の同僚たちと上手くコミュニケーションを取りながら仕事を行っていけるかといった点が重視されます。

難病のある人はそのために、どのような合理的配慮をしてもらいたいか、体調を崩すことなく働き続けていくためにはどうしたらよいかという点を、企業側と率直に話し合うための準備をしておく必要があります。

 

また、自身のスキルアップを行い採用されやすい状況を作ることも大切です。

例えば、デスクワークの仕事に就くためには、パソコンのスキルが必要不可欠であることが多いため、パソコンに関する基礎的素養を身につけておくことはもちろんのこと、専門技術職などの場合には資格取得が必要なこともあります。そのために職業訓練を受けて、スキルを身につけたり資格の取得を行うことで、就職が有利に進みます。

難病のある人の職業支援機関とは

難病のある人の職業支援機関には、以下のようなものがあります。

 

ハローワーク

ハローワークでは難病がある人は障害者手帳の有無にかかわらず、継続的な職業紹介などの支援を受けることが可能です。

障害者雇用の求人以外にも、難病がある人が無理なく働くことができる仕事を紹介してもらうことができます。

各都道府県の難病相談支援センターのある管区のハローワークには、難病に関する専門スタッフである難病患者就職サポーターが配置されていて、難病相談支援センターと連携を取りながら、難病のある人が無理なく働くことができる仕事内容や働き方を紹介してくれます。

それだけにとどまらず、企業への難病の伝え方を患者と一緒に考えたり、必要があれば面接に同行し、企業側への難病に対する必要な配慮について説明してくれたります。

 

就労移行支援

就労移行支援とは、求職から就職までの一連の流れを一貫してサポートしてくれる機関です。
利用者は就労移行支援事業所に数か月から2年の間通って、支援員からのサポートを受けながら就職を目指します。
就労移行支援事業所ではビジネスマナーやPCスキルのトレーニングなどの職業訓練や、履歴書の添削、模擬面接などによる面接対策のサポートのみではなく、就職後に職場に定着できるよう支援を行ってくれます。

 

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地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、各都道府県に設置されていてハローワークと連携して障害や難病がある人の職業相談や専門的な職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援や事業主支援とも連携した就職活動のサポートを行ってくれます。

 

難病相談支援センター

難病相談支援センターは、難病のある人の日常生活の悩みや不安に関する相談に応じてくれるだけではなく、ハローワークと連携して就労支援も行っています。
難病専門の支援機関であるため、抱えている難病の自己管理の方法や症状に合わせた働き方の提案などを専門的な見地から行ってくれます。

 

就労継続支援A型、B型

就労継続支援とは、障害や体調、特性などに対するサポート環境が整った職場を提供する福祉サービスのことです。
一般企業や社会福祉法人などにより運営されています。
A型は、一般の職場に近い環境で働くことができ、利用者は事業所と雇用関係を結んで最低賃金以上の給料を受け取ることができます。
B型は年齢や体力、症状などの理由から雇用関係を結んで働くことが難しい人が利用する事業所で、賃金ではなく生産物の成果により工賃を受け取る形となります。

 

 

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業

ジョブコーチは、支援機関から企業に派遣され、障害や難病のある人が滞りなく仕事を行うための環境を整備する専門家です。
難病を抱えながら働く人の相談に乗ったり、日誌を活用した体調管理などの具体的な対応策を提示してくれることもあります。

 

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターでは、求職活動の支援だけではなく、就職後の職場定着のための支援も行ってくれます。
生活と就労の両方の相談に応じてくれるため、職場で何か困りごとが出てきた場合だけではなく、日常生活における疾病管理と職業生活の両立方法についても相談することができます。

 

難病患者の就労支援|厚生労働省

まとめ

ここまで、難病を患う人が就職または転職するために、どのような準備を行えばよいかということと、その時に支援を受けることができる機関を紹介してきました。

難病のある人が就職または転職する場合には、健康な人とは異なるさまざまな準備が必要であることがお分かりいただけたと思います。
自分ひとりでこれらの準備を行うことは、非常に大変です。
時には専門家の力も借りながら、就職や転職を成功させ、長く働き続けることができるようにしましょう。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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